シン・あきらめる? その養育費

 まず債務者である相手方が会社員、サラリーマンの場合は給与債権の差押えがメインとなりますが、何もそれだけが債権とは限りません。つまり相手方が自営業で給与債権がないとしてもあらゆる債権が対象となりますので養育費の取り立てや回収は可能ということです。
 給与債権や金融資産(株式等の有価証券)、不動産、他動産(貴金属、ブランド物、車)等。

 手っ取り早くて、手続きが容易(離婚協議書が公正証書の場合)なのは給与債権ですが、それがダメなら財産開示を請求して保有資産の内容を把握しましょう。
 2020年に民事執行法が改正され理由なく出頭しない、嘘を言ってしまうと刑事罰が科されるため債務者は逃げられなくなりました。
逃げるとしてもかなりの勇気が必要となり、大きなリスクを負うことになります。
 ぜひ給与債権以外の資産を調べてください。
 自宅、金融資産、動産、個別の債権等、何かあるのでは?

 自営業の場合、その業種によっては商売道具も差押えは可能です。建設、工事系ならば工具、機械類、IT系ならPCや周辺機器類です。
 商売にかかる売掛金があればそれをターゲットにして差押えすることも可能なので日頃から取引先は調べておいてください。

 手元に現金はないし、自宅は住む場所がなくなるから売るわけにいかないとのことなら自宅をリースバックしていただいてはいかがでしょう?
 養育費の大部分が回収でき、債務者はそのまま自宅に住みながら家賃相当をリース会社にリース料として払い続けるということになります。

 または債権者であるあなた自身、銀行から借入れが可能もしくは自己資金があれば、差押えた自宅を差額分をこちらから支払い買取ってしまい住みながら将来資産としてお子さんに残すこともできます。
 またはこの物件を賃貸で他の方に貸し出して副収入を得るという選択肢もあります。
 実際にこれらの資産に手を出そうとすれば、債務者の心理として「自宅がなくなるかも」「商売に支障が出る」等となり、債務者に対して相当なプレッシャーを与えることができるものと考えます。
 真剣になって養育費の支払いに応じてくれるでしょう。

 この場合、差し押さえのための与納金の額や実際に換金するフェーズに移行となった場合には、掛かる時間とコストについて手続き前に忘れることなくお含みおきください。

 要は考え方、その時の状況次第で回収方法は幾通りもあります。
 ある程度の知識や経験は必要となってきますが、これ以外にも当事者の状況に応じてまだまだ方策はあり得ますので債権回収や金融に詳しい方々からもアドバイスを受けてみてください。
 端的にいえば法律は子どもの味方なので基本的に債務者の逃げ得は許さないという立場です。

 以前のエンドメッセージと同様になりますが一貫したメッセージは「あきらめないでください」!!