【銀行物語(その2)】決算書 銀行員の分析軸 ”〇〇はほぼ利益!!”

 みなさんは決算書や財務諸表についてどのような印象をお持ちでしょうか。
 ほとんどが「数字の羅列でわからないからつまらない」かもしれません。

 ここでは何回かに分けて、超簡単に決算書を見る際の銀行員の視点と好印象な決算書、印象のよい財務内容をお話ししたいと思います。
 銀行員が決算書に目を通す分析の”軸”はだいたい2つあり、一つは貸金が契約通りに返済してもらえるかどうかの返済能力、もう一つは安全性です。

 みなさんご存じの通り決算書はある一定の期間、一定の時期を基準としてその企業の成績を表す”成績表”のようなものですが、運転資金を融資するかどうか判断する場合は正直に申しあげて将来性や企業の社会的価値はその判断軸となることはほぼありません。

 まずは経常利益、当期純利益、減価償却費、現金(流動資産)をあげます。
 これらの項目は当然のことながら意図的に操作して作り込むことはできませんが、財務の仕組みを理解することで結果的に銀行員が好む決算書に近づけることができるようになります。
 これらの項目を意識して経営をすることがイコール安全性の高い、安定した基盤の企業であるとこを意味します。

 経常利益、当期純利益等の利益項目については言わずもがなですが、それぞれの業種での基準は業種別の経営指標を参考にされるのが良いでしょう。
 https://www.jfc.go.jp/n/findings/shihyou_kekka_m_index.html(日本政策金融公庫)

 また1年に1度は帝国データバンク、商工リサーチ、リスクモンスター等で自社をリサーチしてご自分の会社の立ち位置を確認しているみることをオススメします。
 これら信用調査会社の評価は規模や経年数、業種によって異なりますが、これまで蓄積された情報からの彼ら独自の評価軸があり、その評価について一喜一憂する必要はないですが大変参考になりますので費用はかかりますがぜひお試しください。

 今回のテーマである減価償却費は、決算書を一見してその会社が返済可能かどうかをざっくり判断することができる必須の項目です。
 端的に言えば減価償却費とは年数に応じて保有資産の価値を減らしていく作業であり、かつその額を表すものです。
 減価償却は、その対象となる資産の種類によって減らすことができる年数が決まっていますが、償却できる資産を何年かに分けて経費にすることで利益を圧縮し、その間の税金を減らすことができるという効果があります。

 これとは逆に、利益確保が厳しい企業は、この減価償却を行うと更に利益を圧迫することになるため、法人の場合、減価償却は必須ではないことから会社によっては決算書の見栄えを良くするために「減価償却しない」という判断になることもあります。
 よって銀行員はまず、この部分について減価償却をやっているか否かを見ることになります。
 償却を実施している場合、この数値は裏を返せばほぼ利益、つまり返済額として見込むことができるからです。

 減価償却費は事業年度内にコントロール可能な項目ですので、その仕組みを理解して財務上、対銀行用としてもぜひ有効活用してください。