各種許認可申請

 新たに事業を始める場合やさらに新たな分野に進出しようとする場合、事業に関する許認可や届出、登録などが必要となる場合があります。
許認可申請書はとても多くの種類があり、建設業許可を始めとして、飲食業許可、風俗営業許可、宅建業免許登録、古物商許可、産業廃棄物収集運搬業許可、医薬品販売業許可、旅館営業許可、一般貨物自動車運送事業許可、貸金業登録など、許認可の種類は1万を超えると言われています。
こうした許認可の申請は基本的にはご自分でできるのですが、多くの場合、多数の複雑な書類や資料を作成・提出する必要があり、手間や時間がかかるものです。当然のことながら行政機関に対してこうした許認可の申請をするには、事前にその許認可について行政側が許認可をする基準を知っていなければなりませんし、そうした基準を満たす書類でなければ提出しても申請は許可されることはありません。
当事務所では数多くの専門的な資料が必要となる許認可申請や、その後に必要な決算報告、更新手続き、管理者の変更手続き等、許認可の申請をサポートいたします。

 

当事務所では特に国内でも対応可能な士業事務所が少ない、以下の”資金決済法”上の許認可申請をサポートいたします。

 

・前払式支払手段
前払式支払手段は、資金決済に関する法律によって定義された支払手段の一つで、具体的には商品券やプリペイドカードなどが該当します。自家型前払式支払手段と第三者型前払式支払手段に区分され、発行者は届出(事後)または登録(事前)が必要です。発行者は基準日における未使用残高が基準額を超えた場合、当局へ届出を行う必要があります。また第三者型前払式支払手段の発行は、当局の事前の登録を受けなければならず、以下の4つの要件が必要となります。

  1. 金額又は物品・サービスの数量(個数、本数、度数等)が、証票、電子機器その他の物(証票等)に記載され、又は電磁的な方法で記録されていること。
  2. 証票等に記載され、又は電磁的な方法で記録されている金額又は物品・サービスの数量に応ずる対価が支払われていること。
  3. 金額又は物品・サービスの数量が記載され、又は電磁的な方法で記録されている証票等や、これらの財産的価値と結びついた番号、記号その他の符号が発行されること。
  4. 物品を購入するとき、サービスの提供を受けるとき等に、証票等や番号、記号その他の符号が、提示、交付、通知その他の方法により使用できるものであること。

自家型前払式支払手段発行者は、基準日(毎年3月31日、9月30日)における未使用残高が最初に基準額(1,000万円)を超えたとき、当局へ届出を行う必要があります。
具体的には、基準日の翌日から2か月以内に発行保証金の供託または保全契約等の締結を行い、供託書等の写しを添付した「発行届出書」と「前払式支払手段の発行に関する報告書」、その添付書類一式を提出します。
また、複数の自家型前払式支払手段を発行する場合、それぞれの自家型前払式支払手段について基準額を超えたかどうかを判断するのではなく、発行者が発行するすべての自家型前払式支払手段の基準日未使用残高を合計した額で判断します。
第三者型支払手段発行者は発行者以外の第三者から物品の購入やサービスの提供を受ける場合にも、これらの対価の支払いのために使用できる前払式支払手段を発行している者のことをいいます。発行前に財務(支)局長等の登録を受ける必要があります。
登録申請書には、事業者名、資本金、前払式支払手段の種類、名称、支払可能金額等、有効期間・期限、発行業務の内容・方法、委託内容・委託先名、苦情相談の受付場所・連絡先、その他内閣府令で定める事項が含まれます。
また、一定レベルの純資産額を有していることなど、事前に発行者の適格性を審査するため、第三者型については登録制となっています。登録申請書の提出に加え、発行者は法律に基づき、前払式支払手段に関する情報提供義務を負っています。具体的には、前払式支払手段の利用可能金額、使用期間、利用上の注意、苦情相談の受付場所・連絡先などを表示する必要があります。

 

・資金移動業
資金移動業」とは、銀行以外の者が為替取引を行う際に必要な業務であり、直接現金を輸送せずに隔地者間で資金を移動する仕組みを利用して行われるサービスです. この業務には、「第一種資金移動業」(上限なし)、「第二種資金移動業」(上限100万円)、「第三種資金移動業」(上限5万円)の三つのカテゴリーがあります. 特に第三種資金移動業は、少額送金サービスへの参入事業者が多い分野であるとされています. このようなサービスは、海外旅行や海外送金などで利用されることが多く、手数料が安価であることが特徴です。また、第三種資金移動業は、スマートフォンアプリなどを利用した送金サービスが多く、手軽に利用することができます。

第一種資金移動業
第一種資金移動業は、高額送金のニーズに応えるために設けられており、送金額の上限がなく100万円以上の送金も可能です。内閣総理大臣の認可を受ける必要があり、認可を受けるためには、業務実施計画や、犯罪による収益の移転防止やテロ資金供与の防止等を確保するための社内体制に関する事項を記載することが求められます。また厳しい滞留規制が課され、送金額や送金日など具体的な送金指図を伴わない資金を受け入れること、資金移動に必要とされる期間を超えて資金を滞留させることが禁止されています。

第二種資金移動業
第二種資金移動業は、1回あたりの送金限度額が100万円以下の資金移動業者のことであり、登録制度に基づいて金融庁に登録する必要があります。第一種資金移動業者と比較して送金限度額が低いことから規制が緩和されています。利用者から受け取った資金を、第三者に送金することができますが、送金限度額が100万円以下であることが条件となります。また、第2種資金移動業者は、利用者から受け取った資金を、自社の口座に預けることができます。この場合、預けた資金は、第1種資金移動業者と同様に、預金保険機構によって保護されます2

第三種資金移動業
第三種資金移動業は、5万円程度までの少額送金に特化した業種で政令で定める額以下の資金の移動に係る為替取引のみを業として営むことをいいます。第三種資金移動業者は、店舗型、インターネット・モバイル型、カード型の3つのタイプのサービスを提供しています。少額の送金に特化しており、個人間送金サービスや割り勘アプリ、投げ銭サービスなどに分類されます。この業種は、規制緩和により従来よりも負担の少ない規制が課されていて登録制となっています。資産保全義務は緩和されており、利用者の保護等を図るための措置が求められています。

許認可申請の要件
資金移動業者の登録を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 法人格
    • 「株式会社」または「国内に営業所を有する外国資金移動業者」であること。
  2. 財産的基礎
    • 資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎を有すること。
  3. 体制の整備
    • 資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制および資金決済法第3章「資金移動」の規定を遵守するために必要な体制の整備が行われていること。
  4. 商号・名称
    • 他の資金移動業者と同一または類似の商号・名称を用いていないこと。
  5. 過去の違反歴
    • 過去5年間に、資金移動業の登録、資金清算業の免許を取り消されたり、資金決済法、銀行法等に相当する外国の法令の規定により同種の登録、免許を取り消されたことがないこと。
  6. 罰金刑の有無
    • 過去5年間に、資金決済法、銀行法等、出資法またはこれらに相当する外国の法令に違反し、罰金の刑またはこれに相当する外国の刑に処せられたことがないこと。
  7. 公益性
    • 他に行う事業が公益に反しないこと。
  8. 取締役の適格性
    • 取締役等に不適格者がいないこと。不適格な者とは、精神の機能の障害のため資金移動業に係る職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(外国の法令上これに相当する者)、禁錮以上の刑に処せられた者で、5年を経過していない者などです。

 

・電子決済手段等取引業
令和5年6月から、「電子決済手段等取引業」に関する新しい制度が開始されました。国内で電子決済手段等取引業・電子決済等取扱業を営むには、それぞれ資金決済に関する法律・銀行法に基づく登録が必要となります。いわゆる「デジタルマネー類似型ステーブルコイン」が新しい制度の対象であり、「電子決済手段」として位置付けられることになります。比較して「暗号資産型ステーブルコイン」は資金決済法上の「暗号資産」に該当し、従来の資金決済法の暗号資産交換業者に関する法制によって引き続き規制されることとなります。
電子決済手段等取引業は法定通貨の価値と連動する「デジタルマネー類似型ステーブルコイン」の仲介等を業とします。
電子決済手段等取引業を営もうとする方は、それぞれ資金決済に関する法律・銀行法に基づく登録が必要となります。

 

・暗号資産交換業
暗号資産交換業者は、暗号資産と法定通貨との交換サービスを提供する事業であり、金融庁・財務局に登録を行なった上でなければ、日本国内居住者向けに暗号資産の取引サービスを提供することができません。暗号資産交換業者は、純資産額やシステムリスク、資産管理方法などの要件を満たさないと、暗号資産交換業者にはなることはできず、登録には株式会社または外国暗号資産交換業者であること、財産的基礎を有すること、事業を適正・確実に遂行する体制が整備されていること、法令遵守のために必要な体制が整備されていることの4つの要件を満たす必要があります。